毎日トクしている人の秘密

毎日トクしている人の秘密
名越 康文
PHP研究所


友人がサイトでリンクを貼っていたので知った精神科医で、「不安の背後には怒りがある」という記述がとても印象に残りつつ、不安と怒りの関係が自分を攻めることによる反作用としての他者への攻撃性なのか、自分を攻めている(自分に対する怒り)が形を変えて不安という現れ方をしているのか、未だによくわからない。そういう問題意識を有耶無耶にしていると、書店で著者の書物がついつい目に入ってしまう。

一人になる時間を一日十分でも作ることの効用を説く。それは、例えば会社でじっと物思いに耽るということではなく、座禅を組むまでもないが自宅に戻ってじっとものを考えるとか、寄り道して杯を傾けるのでもよいのだろう。だから「場を選べ」とも言っている。自分の感覚を邪魔するような場、何故か重ねていってしまうような場があれば、そういう身体感覚は大切にしたほうがよいらしい。

「相談すること」においては、あらゆる運命を委ねるという本当の意味での絶対他力になるのは難しいので、せいぜい話を聞いてもらった上で自分を考えるくらいの程度にしろという。別の言い方では、自分自身が話を聞いてもらいたいのか、判断を人に委ねようとしている(他人のせいにしようとしている)のかをはっきりと区別しないと、特に誤った決断をしたときに自分を不幸に貶めることになるので、注意したい。

また「誰とどのくらいの時間を使うか」ということは自分の人生を左右する。人生は短いと感ずるのは時間を浪費しているからで、本当は長いのだというセネカの引用が、付き合う相手を選びなさいということのようだ。

薄い文庫本で、さっと読めるエッセイ風の内容だが、考えるほど奥が深く、自分の行動を改めて冷静に見るきっかけになった。わりと自分の感覚には忠実なほうで、理屈よりは感性で動くタイプであるという自覚があるが、今後は次のようなことに気をつけたい。

1.感性が「あることをしなければ・・・」と訴えてきた時に、「なぜそれをしなければならないか」を冷静に考えて言葉にする。あたりまえと思う事こそ冷静になるべきで、例えば震災のボランティアなども「見ていられないから」ではなくあくまでも「なぜ」を問う。感覚には必ず価値判断が含まれているが、それは本来的な感覚ではなく損得が入っている。

2.理由がわかっても、即行動に移さない。まずは人に「相談」してみる。それも単に相談するのではなく、自分で出したい結論(判断)を整理するために相談する(聞いてもらう)のか、仮説に対して最後に自分で決めたことに重要な誤りや考慮漏れがないことを確認する(意見を聴く)前提であること。解は求めない。

3.相手を選ぶ。

4.行動しない自分を責めない。感性が責めてきても、理性で「横に置く」(他に没頭する)。軽く口に出さないで、文字にしてみる。

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