戦後史の解放I 歴史認識とは何か

2018年9月5日読了
この「戦後史の解放I」はどうやら発売直後に購入したらしいが、このたびIIが出たことをきっかけに購入したことを思い出して3年経って読み始めた。著者が狙っているのは、日露戦争以後の日本の歴史(ここからを現代史としている)を従来の日本史/世界史の枠組みを取り払って、通史として解説しつつ、著者の価値観が文章に現れることをやむを得ないこととして受け入れ、立場からではなく状況から叙述しようとする試みである。
解放という言葉には、イデオロギー、時間、空間からの解放という意味が込められ、現代史がまさに今生きている人たちに直接関わる事項だけに、その利害から抜け出す試みは、冒頭からサザンの桑田のセリフ「教科書は現代史をやる前に時間切れ」の引用から始まる。
著者の国際主義の視座は定義を云々する前に、この著述の試みそのものであり、裏にあるのは孤立主義に向かいつつある昨今の国際情勢への警鐘でもあろう。

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