まぼろしの出雲王国

まぼろしの出雲王国
まぼろしの出雲王国

posted with amazlet at 10.03.21
山崎 謙
PHP研究所


日本の歴史は大和政権が誕生して支配をしていく形で記述されているが、その中で出雲の国は神話の世界でしか語られていなかった。
しかし、1984年の荒神谷遺跡で明治以降日本全国で発掘されていた累計数量を上回る358本もの銅剣が一箇所から発掘され、さらに従来は別々の文化圏とされていた銅鐸と銅矛がすぐそばで同じ場所から見つかったこと、そして1996年加茂岩倉遺跡から銅鐸39個が同じ箇所から発掘され、それなりの政治勢力があったことが裏付けられた。
また出雲大社境内から心御柱と思われる三本柱が掘り出され、国造の時代から連綿と続いている大社宮司に伝承されている「金輪御造営差図」が裏付けられそうで、これにより東大寺大仏殿を凌ぐ96mにも及ぶ高さの建造物があった可能性が濃くなってきている。
本書は出雲を中心とした日本海側の交流(越の国、筑紫、新羅)という観点から日本古代史を捉えようとしている。大和政権により神話の世界に追いやられた、といっても記紀の中ではかなりの比重を置いて記載されている出雲の国について、興味を起こさせる。
本書を手に取ったきっかけは、たまたま春休みに子供をつれて出雲へ旅行しようと思っていたところ、ガイドブックで物見遊山するのではなく、歴史の息吹を感じ取ろうと書店の棚に新刊本として置いてあったことにある。事前に読むことができたのは幸いであった。

This entry was posted in Uncategorized and tagged . Bookmark the permalink.

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

CAPTCHA


計算式を埋めてください * Time limit is exhausted. Please reload CAPTCHA.