空襲の記録&終戦詔書@国立公文書館

国立博物館で「和様の書」に酔ってしまい、さらに欲張りなことに国立公文書館
連続企画展「空襲の記録―全国主要都市戦災概況図―」
開催期間中における「終戦の詔書」原本の特別展示について(期間限定:平成25年8月12日~8月30日)
を見た。
ここは、場所が九段下と竹橋のちょうど中間でしかも北の丸公園の端っこにあること、さらには地味な施設なので、いつ行っても空いている。
空襲状況図は、戦後の混乱期にいろいろな地形図を用いていろいろな方法で調査された結果なので、どの程度正確なのかも比較するとなんとなくわかってくるのが興味深い。
空襲の方法も色々あるなと考えさせられる。
ピンポイントで重要建物ばかりを狙った爆撃や、ローラーで撫でた如く一直線な爆撃、さらには執拗に複数回に亘って面をびっしりと隙間なく爆撃するなど、各地の空襲被災図は色々と語る。
空襲図は全体の三分の一が入れ替え展示なので、残念ながら宇部の空襲図は見ることができなかった。
しかし圧巻はもう一つの展示である、終戦詔勅の原本である。
終戦詔勅自体は、何度も見聞しているので、「完成された」文章は馴染みがある。しかし、国家の一大事を決定するにあたり、終戦詔勅の草案、第二案、第三案、第四案、詔勅正本(修正つき)という具合に、終戦時の慌ただしさの中で、国家の命運を決める文章を推敲していく緊迫感は、少ない地味な展示ながらも、歴史を担う誇りを持った人たちの仕事を感じざるを得ない。
最後に筆で清書されたものに御名と御璽が入るのだが、その現物は書き直さず、原稿用紙のようにカッコ書きで加筆したり紙を削って文字を書き換えているあたりは、よほど慌ただしい中で作成されたことが窺えるのである。しかも、一方では「書類上は後処理で」という現代の会社で形式を整えるために行われる作業がとられていないことが、当時の人々の誠実さをもわからせてしまうのである。
詔勅原本が拝めることだけを期待していたのだが、その作成過程を見ることができるという意味をあらためて理解した。
なお、終戦詔勅の録音盤を巡るストーリーは、「日本のいちばん長い日」という映画がある。

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