ペンタブにハマった話

購入の経緯

昨年秋頃にペンタブレットを購入した。
ワコム Intuos S(CL4100)

オンライン研修が増えてくると研修資料をPDFで入手してメモをノートに書いたりすると両者泣き別れで保存するはめになり不便、かといってPDFにタイプ打ちして書き込むのもいいが、線を引いたり図形やイラストメモをいれるには面倒、だから直接手書きしたいというところから来ている。

最近では統計の勉強などで数式をよく記録するのだが、数式はMathJAXを動かしてLaTeX表記を使うととてもキレイにかつ厳密に描けるのだが、単なる自分の備忘記録のためならば手書きで十分(というよりは手書きのほうが覚える)という要望もある。

この商品を選んだ理由は、サイズがディスプレイよりも一回り小さく(やや大きめのMもある)軽く扱いやすいことや、アニメータになるわけでもなく手書きノートの代わり程度の機能があれば十分なので、4つのボタンとスタイラスペンだけのシンプルな機能(しかない点)が気に入ったからだ。加えて、ネットでLinuxに事実上対応しているという情報もあったことが大きい。きちんとコミュニティもありドライバなども更新されているようだ。あとでXP-PENという別会社の商品が公式にLinux対応していることを知るのだが。

ハマりのきっかけ

ノートPCはどうしても画面が狭くなってしまい、モニターをHDMIに接続して使ってる。いわゆるデュアルモニターとかマルチディスプレイという環境だ。特に研修の場合は、講師が示すスライドの画面を見ながら、自分のPDFに書き込むためには、両者を同時に見られるようにしておく必要がある。

ワコムのIntuosは、USBに接続すればPlug&Playが機能して自動的にドライバを認識してくれるので、ソフトウェア側が対応していさえすれば、すぐにでもペンを使った書き込みは可能だ。お絵かきソフトではなく、Xournal++というオープンソースのアプリケーションがあり、これはPDFを下地にして書き込みの部分は別に保存するという使い方ができるので、これを選んだ。

最初は、何の調整もせずに使っていた。字は汚いがそれなりに自分では読めるので、まあこんなものかと思いながら。そのうち、マルチディスプレイ環境では、二つのディスプレイを一つの画面にしてペンタブが機能していることに気が付き、PC側を記録用、外付けDPを閲覧用に分けたくなった。

Windows/Macならワコムが用意したツールがあって設定ができるのだが、Linuxの場合も設定メニュでペンダブレットを選べばできるようなことがネットで紹介されている。しかし自分のLinuxmint/MATEの環境にそれはなかった。これも後で、gnome-control-centerをターミナルで叩けばGUIが出てくるということを知る。

あれこれといじっているうちに、ナントカ片方だけで認識するようになったのだが、使っているうちに画面の片方ではなくペンタブ側の左片方だけが機能していて結果的に左側のモニターだけに書き込んでいるかのように見えただけだった。

具体的な挙動はAskUbuntuのこの記述(Wacom Intuos S only recognized in Android Mode)がかなり正確である。

これはペンタブをLinux環境のUSBに繋ぐと、なぜかAndroid環境に接続したものとみなされてしまい、タブレットの左半分を縦に使うという動作をしているらしい。

後に知ることだが、ペンタブの4つのボタンの内、両端の2つを同時に長押しすることでPC環境とAndroid環境の入替えができるという。

次に、Linuxのページにあるカーネルドライバなどをインストールした。このコンパイルでもいろいろなハマりどころがあり、githubなどで質問を出したりしながら解決していった。

結果的にわかったことは、「何もしない」環境に戻すのが最も早道かつ的確な対応であるということだった。

使ったコマンドの一部(備忘記録)

  • lsusbで接続されているUSBデバイスが認識されているかどうかを見る
:~$ lsusb
Bus 002 Device 001: ID 1d6b:0003 Linux Foundation 3.0 root hub
Bus 001 Device 004: ID 5986:0706 Acer, Inc Integrated Camera
Bus 001 Device 003: ID 8087:0a2b Intel Corp. 
Bus 001 Device 005: ID 056a:0374 Wacom Co., Ltd CTL-4100 [Intuos (S)]
Bus 001 Device 001: ID 1d6b:0002 Linux Foundation 2.0 root hub

このVID:056aというのがPCのインタフェースに接続しているということらしく、Androidとして認識されると2d1fになり、苦闘の人生へ進むはずだ。
PID:0374はプロダクトを表す。

  • xsetwacom --list ワコムドライバで設定されている機能を調べる。ペン、消しゴム、カーソル、パッドが使える(実際はペンとパッド本体しかない)。
:~$ xsetwacom --list
Wacom Intuos S Pen stylus           id: 9   type: STYLUS    
Wacom Intuos S Pen eraser           id: 15  type: ERASER    
Wacom Intuos S Pen cursor           id: 16  type: CURSOR    
Wacom Intuos S Pad pad              id: 17  type: PAD       
  • libwacom-list-local-devices ワコムドライバで認識されているハードウェアの動作を定義するパラメタを調べる。
:~$ libwacom-list-local-devices 
# Device node: /dev/input/event5
[Device]
Name=Wacom Intuos S  ※誤ったハードが認識されているとここに(Android)が表示される
ModelName=CTL-4100
DeviceMatch=usb:056a:0374;  ※誤ってハードが認識されるとここが2d1fで始まる
Class=Bamboo
Width=6    ※Android版とPC版の違いはここが2か6かの違い。Androidを認識させたまま2を6に変更しても挙動に変化はなかった。
Height=4
IntegratedIn=
Layout=intuos-s-p3.svg
Styli=0x862;

[Features]
Reversible=false
Stylus=true
Ring=false
Ring2=false
Touch=false
TouchSwitch=false
# StatusLEDs=
NumStrips=0
Buttons=4

[Buttons]
# Left=
# Right=
Top=A;B;C;D;
# Bottom=
# Touchstrip=
# Touchstrip2=
# OLEDs=
# Ring=
# Ring2=
EvdevCodes=0x100;0x101;0x102;0x103;
RingNumModes=0
Ring2NumModes=0
StripsNumModes=0

結論

以上を調べてみて、一応のところでハードウェアは認識されているものの、アンドロイド端末に接続されていると誤認識されていれば、まずは、「4つのボタンの内、両端2つを同時に長押ししてLEDの点灯が変化するのを見て設定を入れ替える」ことが正解。

デュアルモニターの設定は、gnome-control-center ではできない。別記事にした。

やってはいけない

ここのページにあるドライバなどのインストール


逆説の日本史24 明治躍進編 帝国憲法と日清開戦の謎

逆説の日本史24 明治躍進編 帝国憲法と日清開戦の謎
https://www.shogakukan.co.jp/books/09407078

23がひどい内容だったので著者も力尽きたのかと心配していたが、24巻は元の筆致が戻ったので安心した。

明治憲法制定から日清戦争までの近代通史。


逆説の日本史23 明治揺籃編 琉球処分と廃仏毀釈の謎

逆説の日本史23 明治揺籃編 琉球処分と廃仏毀釈の謎

https://www.shogakukan.co.jp/books/09406827

ページの半分は朝日新聞の報道姿勢に対する批判が連なっている。
批判は批判として特にマスコミのあり方として真実を究明しようという姿勢が見られない面がある点は、大いに糾弾されて然るべき。

残念なことは報道事実が誤りなのであればそれを唯した筆者としての見解の方に議論の中心を持っていくべきなんだろう。

廃仏毀釈の話題については、長州が京都で西本願寺などに匿われたことから仏教擁護派で、逆に薩摩は歴代藩主の菩提寺も含めて徹底的に寺社を潰し、神道化を進めていったという視点は、これまだなかった。

国家神道や天皇の神格化は昭和16年の開戦以前はそれほど強くなく、国定教科書にも採用されていないという。


尊皇攘夷―水戸学の四百年

尊皇攘夷―水戸学の四百年

https://www.shinchosha.co.jp/book/603868/

水戸学とは水戸光圀から始まり幕末の尊王攘夷思想の理論的基盤となったことで知られているが、その土壌として水戸藩沖には古くから外国船が往来しており、地元の漁師は薪炭や食料・飲料水の供給などで既に交流があったことが挙げられている。


監査法人の原点[新装改訂版]

監査法人の原点[新装改訂版]

https://bookwalker.jp/deae0133a4-e056-4f22-bd36-fdaf4bc9a108/

著者とは同窓で専門学校でも一緒に勉強していた時期があるが、永年疎遠となっていたところ本書を見つけたので読んでみた。

監査を適切に遂行するためには、監査人である公認会計士が独立した専門家であるべきことは言うを待たないが、著者はさらに踏み込んで自由職業人たれと主張する。背景には、品質管理に必要な組織の体制と現場の判断をする業務執行社員との力関係のバランスを得るための適正規模として30人くらいの組織がよいとしている。

著者の業務戦略としての納得感はあるが、現実問題として世界規模の企業が沢山存在し、上場企業が4千社近くもある市場は日本独自の環境であり、これに業界としてどう対応していけばよいかという著者のビジョンは示されていない