伊勢藤で軽く

今週は、偉い人達に沢山会ったので、ずっと緊張していて疲れてしまった。
社会的な役割を果たしている人に会うと、自分なんか何もせず申し訳ないという気持ちが出てしまい、疲れてしまう。

幸いにも金曜日の午後に飯田橋で仕事だったことで、伊勢藤で独り酒を楽しんだ。

L字カウンタには先客二人だけ。角に席を得て、ご主人が燗をつける姿をぼーっと眺めながら酒を飲む。
疲れているからか、どうやってつけているかなど興味はあるが、あまり見ていない。

木造建物なので外の音が丸聞こえ。店の講釈をしている人もいるが、外にいると聞き流すことも静寂な中にいるとよく聞こえる。
「ここはお酒しか出さないの。それでいい?」とキャリアウーマンぽい女性の声。
程無く、男性を連れた女性(逆ではない。なぜそう思ったかは、先の会話が耳に入っていたからだ。)が入ってきた。世の中、変わってきたな。ここはデートする場所じゃないぞ。

いつものようにおかわり一回でおしまい。自分には酔う前のほどよい量である。


神楽坂伊勢藤

神楽坂を登り右に路地を入ると程なく木造の古い家屋に縄暖簾の建物がある。かつてはごくごく当たり前の情景だったのだろうが、いまは周辺はイタリアンリストランテや白いコンクリートの建物がある中で、独特の風情を醸している。入り口はよくよく見ないと何処かわからない。

やや薄暗い中に入ると土間の囲炉裏を囲んで6人がけの低いカウンターがL字にあって、そこに腰を落ち着ける。冷暖房はないので、夏は暑く冬は隙間風が足に来る。

奥方と思われる控えめな美人がおしぼりとお箸と酒坏を用意してくれる。酒坏は手酌に都合よく小台に乗っている。

注文はない。「お燗でよろしいですか」と聞かれたら「はい、お願いします」といえば良い。
囲炉裏前に正座した亭主がちろりで日本酒の燗をつけてくれる。銘柄は灘の白鷹のみ。

お燗の方法は囲炉裏のお湯で暖められたちろりに白鷹を注ぎ、一度お酒を温めてから徳利に注ぎ、さらにその徳利をお湯につけてから、客に出される。亭主が顔に徳利を近づけてつかり具合を見る。人肌の実に程よい加減なのだが、ゆっくりと飲んでもなかなか冷めないところがいい。

おつまみも別に注文はできるが、先ずは奥方が用意してくれる小鉢3品を味わう。胃袋にお酒が沁みた頃合いで奥方が味噌汁を用意してくれる。このタイミングも絶妙である。1本めは小鉢にはほとんど手を付けず、お酒を味わいながら物思いに耽る。味噌汁がちょうど口直しになる。

一本目を飲み終わると奥座敷では鈴を鳴らしておかわりを注文する。カウンタでは亭主に目で合図すれば良い。
二本目のお燗のつけ方は少し熱くなる(気がする)。
ここからは小鉢をツマミに酒を飲む。そのときはもう頭のなかは雑念が消え、ひたすらにお酒を楽しむ。

基本的に一人で来る酒処だが、奥座敷が二つあって、卓がそれぞれ2卓ないし3卓あり、二人連れが入る。女性客はほとんどいないが、カウンタで独り酒を楽しんでいる女性がいることもある。亭主は音に敏感で、座敷の声が高まると注意される。確かに異質の空間である。

二本飲むと実によい心持ちになる。もう一本行きたいなと思うが、我慢するでもなくかと言って追加注文するでもなく、切り上げて帰路につく。


THE Jha BAR(ジャハ・バー)

神田というよりは淡路町に近い場所にある世界のビール専門店。
樽生で世界のビールが飲める(5種類くらい)だけでなく、瓶のビールはたくさん揃っている。
ヨーロッパのビールは日本のビールのように似たような味ではなく、蔵元によってそれこそ千差万別の味わいが楽しめる。
日本の地ビールも扱っているようで、蔵元から送られたものを季節によって変えて出している。
11月からはオリジナルのハウスビール「神田ビール」(小田原の醸造所で製造しているらしい)を出す予定とか。黒ビール党などリッチテイストなビールが好きな人に向いている。
一人で行ってカウンターで飲むもよし、小さな丸テーブルで3人くらいで飲んでもよい。
バーにしては料理もそれなりに揃っていると言ってよいだろう。ビールが飲めない人が一緒でも、スコッチやバーボンを楽しめるようになっている。
http://www11.ocn.ne.jp/~jhabar/


てん亭

神田西口の出世不動通りにある出世不動を左斜め前に見る場所にある。
店の間口が狭く気がつかないで通り過ぎてしまうくらいだが、右隣にこれまた古い酒屋があるので、それを目印に行く。
昼は天ぷらを1000円以内で食べることができる。自分は天丼を食べた。味付けには東京の濃いタレが使われており、西方育ちの自分にはいまひとつなのだが、かといってしつこいほどかけてあるわけではないので、暑い日などはかえっていいかもしれない。1食でサービス券をくれるので、4枚まとめるとタダになる。
まだ夜行ってはいないが、壁には新潟の地酒が税務署管轄区域ごとに並べて書いた紙が貼ってある。あまり見ない表示形だが、それがまた酒飲みの興味をそそるようになっている。若い女性はまず来そうになく、落ち着いて飲めそうな感じだ。


伊勢ろく本店

神田西口商店街にある焼き鳥や。
1Fはカウンタのみで10名程度、2Fはテーブル席がある。
材料がいいためか、焼き方はレアに近い。したがって鳥のジューシーな風味が楽しめる。
個別メニュでの注文も可能だが、3段階のお任せコースから選ぶのもよい。
場所柄サラリーマンばかりだが、飲みすぎず食べすぎず、仕事仲間とちょっと話をしたいときには、カウンターで。コース&ドリンクでほぼ5千円で十分。
http://www.iseroku.co.jp/home.htm