ローマ人の物語6・7--勝者の混迷(上・下)

塩野七海(著)新潮文庫(2002年)

第三巻はポエニ戦役終了後からローマが地中海全域を支配下に治めるまでの歴史である。
実は、いままでの中で最も退屈であった。というのも、ハンニバルの戦いのような一進一退の動きがあるわけでもなく、ローマが地中海西域を支配して安定期に入ったときに、国内で発生するいろいろな権利関係の整理の話が多いからだ。

その結果、最終的にはローマ人と同じ権利を持つローマの同盟国で「イタリア人」という概念が発生する。
勝者の混迷というタイトルは、歴史を著す者の困惑をも表現しているかも。

思うに、「社内調整」というやつだ。会社で社内調整が跋扈しているということは、外敵がないか認識していないという解釈もできるわけで、パイの外枠が決まってしまえばパイの分配調整に議論の焦点が移ってしまうのも首肯できる。反対に見れば、社内調整が多くて困っている場合には外部に目を向けてでればよいということなのかもしれないが、こんどはそれが言いか悪いかを議論する新たな調整が始まるのが、腐り始めた組織の常であろう・・・というようなことを考えながら読んだからなのか、退屈だった。

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