ローマ人の物語14・15・16-パクス・ロマーナ

塩野七海(著)新潮文庫(2004年)

カエサル暗殺後、その遺志によって後継者となったオクタヴィアヌスが、皇帝アウグスツスとなり、帝政ローマを築き上げパクスロマーナ
(ローマによる平和)と呼ばれる時代である。巻末年表に拠れば、紀元前から紀元後に変わるタイミング。
西洋でもようやくキリストが生まれた頃である。

著書による限り、オクタヴィアヌスはカエサルの持っていたような軍事的才能もなければ人間的な魅力もなさそうだが、いわゆる「政治家」
としての力と「生真面目さ」は持っていたようである。

カエサルがガリア、小アジア、エジプトと遠征し、外へ外へと向かっていったのに対し、オクタヴィアヌスの時代はカエサルの築き上げた
「地盤」をローマ帝国へと昇華させるために、内政の安定に視点が向かっており、法律や税制の改革が多い。

帝政というと始皇帝のような強力な権力を持った者が独裁政治を行うことを想像するが、
少なくともオクタヴィアヌスの時代は自らの親族を自ら作った法律で罰するほど「生真面目」なオクタヴィアヌスの性格を反映して、
正当に権力が行使された時代であると著述されている。
つまり生真面目な性格ゆえにきちんとした法律的制度的な背景を持って政治を行なう必要があったしそれができたということで、
権力の集中はカエサルのような個人的な人望と才覚で政治が行なえない者にとっては必要なことなのであった。

この後は「悪名高き皇帝たち」となるので、集中化された権力が本来の意図とは異なった形で遂行されていくものだろうと想像している。

日本はいまだに弥生時代。

 

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