レジリエンスの教科書

レジリエンスの教科書: 逆境をはね返す世界最強トレーニング
カレン・ライビッチ アンドリュー・シャテー
草思社


2015年7月3日読了

社会人をやっていて自分に一番足りない能力は何かと問われたら、「レジリエンス」と答えただろう。変化の多い世の中で、それがストレスとなって覆いかぶさってくるときに、跳ね返したり、うまく交わす力である。
但しこの言葉を知ったのはこの本からであって、英語のresilientという言葉は分かっていても「逆境を跳ね返す力」という理解では使っていなかった。

この手の本はたくさんあるが、いわゆる「思考のわな」とか「思い込み」にいかに気がついてそれに対処できるかという点で共通している。

本書では、「ティッカーテープ」とか「氷山思考」といった新しい単語が出てくるが、思い込みに打ち克つというところが最も大切なことだ。さらには、対人関係等で自分が無意識にとっている行動への気づきも促している。

表面に出てくるものの考え方の背後にある部分まで深く考えてみようというところが、「氷山思考」である。「あいつはいつも俺のことを聞かない」→「人は自分の言うことを聞くべきだ」→「無視されたくない。大事な存在でありたい。」などの例が紹介されている。いさかかプラグマティックではあるが、こういったノウハウの先進国である米国ならでは。自分の思い込みに気がつくという点は、自己認知療法と類似する点もある。

レジリエンスのない状態での決断は、氷山思考に基づく決断となるため、誤った方向に行くことになりかねない。職場での人間関係や家族関係の失敗などもその原因はレジリエンスのない氷山思考にあるとする。ゆえに大いなる決断をするときは、自分の内面をよく見なければならないというのは、古より言われていることであり、その実践的な教科書として本書を使いたい。

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