「可視化」ではなく「見える化」

「仕事を見える化しよう」というフレーズは、お互いの業務日程の共有とか顧客クレーム情報のDB化など、いろいろなところで使われている。見える化で仕事の効率や品質があがるらしい。
それ以前から「可視化という言葉が使われているが、あえて見える化という「変な」言葉を使い始めた人の意図が知りたい。
たとえば顧客情報を会社内で共有することで何ができるか考えてみよう。
「Aさんからクレームがあった」という一つの事実を掲示板などで可視化することは可能だ。しかし、なぜクレームされたのか、どうやって解決すればいいのか、他に同様のクレームはないのか・・・といった人間の判断と行動を促すレベルに達しなければ、可視化して情報共有する意味はない(少なくともビジネスにおいては)。
おそらく「見える化」という語を創造した人は、情報を読み取った人が何をしなければならないかを考えて行動を起こすことまでを含んだ概念として、この言葉を使い始めたのではないか。
情報とは「敵情報告」の略語でもともとは軍事用語らしいが、この場合、英語ではInformationではなくIntelligenceが使われる。Intelligenceは思考、判断、知恵などを伴った概念で相手に行動を促す含意があるが、Informationは「伝えること」を意味しており、その伝えた結果には関心がない。実際は、両者は混同して使われているが、「私はInformationを持っている」というのは「聞いた」という以上の意味はなく、「私はIntelligenceを持っている」というのは、「リスクを把握し対処の術を考えようとしている」という意味に取れる。
つまり、可視化とはInformすることであり、見える化とは最終的には判断して次のアクションを取れということを意味するのではなかろうか。

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