地方消滅 – 東京一極集中が招く人口急減

少子高齢化という言葉は現代社会を説明する一つのキーワードになっているが、さて、実態としてその少子高齢化が意味するところはなんであるかというところまで踏み込んで考えることはできていない。
本書は、具体的な統計予測値を用いて、自治体が崩壊する可能性があるところを含め具体的に、高齢者、生産人口、出産年齢期の女性の数などを用いて説明を試み、少子高齢化の解決が実は容易いものではないことを説いている。

そもそも、出生率が1.2の時に、希望出生率が1.8であり、維持出生率が1.1よりもはるかに下回っている。つまりそれを見ただけでも少子化は加速度的に進んでいることが分かる。それ以上に、辛辣なのは、日本の人口は2040年までに減少をし続けていくことや、その減少の意味が、若年層の減少なのか、はたまた生産人口の減少なのか、高齢者の減少なのかということも含めて説明しているので、何とかせねばという気持ちにさせる。

しかし、本書は地方自治体の人口維持策について具体例を掲げてはいるものも、抜本的な解決策とはなっていない。つまり、国民的コンセンサスが形成されない限り「抜本的」解決を図ることはかなりの困難を伴うし、人口問題が今日明日の問題ではあっても生活実感としての影響がないことから、「徐々に」国が衰退していく様を実感させることの難しさがあるのだろう。

むしろ一時の都合で左右されがちな政治に頼るよりも、国家の有り様として学校の教科書などに採用して、国民的レベルで問題意識を持つようにならなければ、この問題は解決しないということを、本書は訴えているように読めた。

その間、戦争や大災害等マクロ施策に大きな影響がある事項があるのかもしれないが、そこには触れていない。

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