行動経済学の使い方

行動経済学の使い方 (岩波新書)
大竹 文雄
岩波書店

2020年2月10日読了
タイトルの通り、行動経済学は研究から実践へとモードが大きくシフトしてる前提で、具体的な行動経済学の使い方として「ナッジ」という考え方を提唱する。ナッジとは「軽く肘で突付く」という意味の英単語だが、行動経済学では「選択を禁じることも、経済的なインセンティブを大きく変えることもなく、人々の行動を予測可能な形で変える選択アーキテクチャのあらゆる要素を意味する」と定義される(p44)。

同じことを言ってもものの言い方一つで人はやる気になったり頑なに拒んだりと選択する行動が変わることがあるが、これをナッジに依ってより良い方向(特に社会政策的に)に持っていこうとするため、用い方に依っては誤った方向に導くことになるという反論もあるらしい。

もとは、経済学が「合理的経済人仮説」にもとづいで最善の選択をするという前提を置いていたのに対して、行動経済学では現状の問題を解決するには人は不合理な行動をとることも踏まえて予測しながら、より合理的な選択を促すような方法を考察するところから発達したものらしいので、職場等でも上手に使えばギスギスしない環境が作れるかもしれない。

一つの例として、「今月の残業時間の違反はx人でy%でした」という発表は、それ自体を認めている内容になっているので、問題の解決にはならない、これを「今月の残業時間基準を守った人は、95%でした」というように正しい方をより強調して違反者が少数派であることを訴える方が効果が高いそうである。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

CAPTCHA


計算式を埋めてください * Time limit is exhausted. Please reload CAPTCHA.