ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学

2015年12月27日読了

おそらく学生向けに書かれた本だが、既存の経営学の教科書とは全く異なり、タイトルのとおりよく知られている経営理論を中心にすえながら、それと関連する理論について紹介している書物であり、視野を広げるにはよい機会となった。

いくつか、記憶に残ったものとしては、
1.ポーターの戦略論は、産業の競争状況によっては適用できないケースがある。
ある意味では当たり前のことだが、ポーターの戦略論は産業の中での企業の位置づけを需要供給の力関係と、参入障壁、プロダクトの代替可能性、市場の競争状態によって評価して、自組織を特徴付ける場所に位置づけることが戦略の要諦であるとしている。ゆえに、市場状態がこれから作られるようなアントレプレナー型であったりするスタートアップなどは、この戦略論は使えない。

2.ポーターやクリステンセンは、査定論文が少ない。
米国の大学の競争環境が紹介されているが、特に研究型、教育型に大きく分かれる中で、ポーターとクリステンセンは、研究型でありながら査定論文が少なく、「その他」に分類されるところで著述などが多く引用される特殊な存在となっている。米国の大学が強いのは、それぞれが個性を発揮しつつ、こういった業績のある学者も大学で抱えることができる懐の深さゆえか。

3.Questioning Observing Experimenting Networking
アントレプレナーと呼ばれる人たちの行動パターンについて、現状の世の中の状況について疑問を持つ、状況を徹底的に観察し深める、仮説思考をして検証を繰り返す、自分の持っているアイデアを誰かに話して議論する、という流れがある。

4.ドラッカーは読まない。
米国の学者はドラッカーは読まない。読んでいる閑がない。

5.ハーバードはビジネススクールとして見ても大学としてみても特殊である。
上記2による。

多くは現役学生諸君に向けて、最先端の経営理論を紹介することで学問に興味を抱かせ、海外留学に同期付けする意味を込めて書かれた内容だが、ビジネスマンにとっても思考を整理する上で大いに役に立った。

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