中央銀行が終わる日: ビットコインと通貨の未来

2016年7月12日読了
著者は日銀OBであり長年にわたり金融政策に従事した立場で、ブロックチェーン技術がもたらすであろう貨幣概念の変化をベースに、唯一の貨幣発行銀行である中央銀行としての日本銀行の金融政策が機能しなくなる可能性について言及している。

通貨への信頼は偽造防止や金融ネットワークの維持など多様な仕組みによっているが、端的には国家の徴税権にその根拠があるとする。
貨幣の根拠は、貨幣の製造原価つまりビットコインであればマイニングに使われる電気料金であり紙幣であれば印刷費用その他が、信頼を維持する根拠になっている。
そういった考え方に立ち、ブロックチェーン技術が普及することによりある程度の交換方法が広まることで独自経済圏ができ、政府保証付き貨幣との交換市場が機能することで、金融政策の及ばない貨幣が継続して出てくる。これにより、貨幣供給量を通じた金融政策が無効化されるというのが基本にある考え方だ。

すでに流動性のわなに入っている日本円のマイナス金利も、実は欧州では珍しいことではなく前例はたくさんあるようだ。

金融政策について復習しつつ、近未来の通貨の姿が垣間見られる興味深い内容である。

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