企業不祥事はなぜ起きるのか – ソーシャル・キャピタルから読み解く組織風土

2017年4月26日読了

企業不祥事の原因はいろいろと議論されているが、ガバナンスの不在とか経営者の暴走そして見て見ぬふりをする風土などが必ず挙げられる。しかし風土や文化などは経営者が作るものであって、結局は経営者の姿勢を規正できるかどうかにかかわってくると著者はデータを使って客観的に説明しようと努力していている。
経営者が長くいればそれだけ収益性が落ちる、経営者と他の取締役との年齢差はワンマン度を表す、生え抜き経営者は収益性が悪い、組織の中のインナーサークル(学閥や、事業閥など)がサイロを生む、などの研究はなるほどと思わせるところである。

組織文化という点に切り込んでいく姿勢はとても評価できるところであるが、一方でそのようなワンマン経営者が生まれたりインナーサークルが形成され強化されていく構造的な問題について切り込みがほしい。特に、経営者規律を保つためのガバナンスの不全については、メインバンク制がなくなってからの株主ガバナンスのあり方を模索している日本にとっていまだ答えが見いだせていない問題である。

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