2019年8月14日読了
いわゆる「因果推論」を扱った入門書である。
統計学で回帰分析を勉強すると最初の方に、相関関係があるから因果関係があるとは限らないので注意するように書かれている。
ある指標Xと他の指標Yの動きとの間に何らかの関連性があることを相関関係があるというが、これは必ずしもXを原因としてYが起こる因果関係を意味しない。
因果関係があると考えるのであれば、少なくともそれが、1.全くの偶然で生じたものでないこと、2.第3の変数(交絡因子)の存在の可能性、3.逆の因果関係、について検討するよう注意喚起する。因果関係の証明には、「その原因と推定されるものがなかったら結果は生まれない」という反事実をあきらかにすることによってはじめて可能。
エビデンスとは因果関係を示唆する根拠のことで、単なるデータではない。したがって、エビデンスは証拠力との関係で4つの階層で捉えることが出来る。
1. 単なる回帰分析(交絡因子を取り除くことも可能)
2. 自然実験と擬似実験
3. ランダム化比較実験
4. メタアナリシス
以上のようなことが具体的な事例を通じて解説されていて、その事例も一般常識を覆すような研究が紹介されているので、興味を持って読む進めることが出来る。入門書ではあるが記載されている内容は奥深く、2017年ベスト経済書となったのも頷ける。