エネルギーの愉快な発明史

エネルギーの愉快な発明史
ベルトラン・ピカール
河出書房新社

2019年11月20日読了

エネルギー問題は人類にとっては切実ではあるが、政治に巻き込まれたり立場によって意見が歪められたり、正当に議論することが難しい。
再生可能エネルギーは大企業や政府によるエネルギー供給を一般市民に取り戻すきっかけになるという本書の考えは興味深い。

過去に発明された動力やエネルギー源が、何らかの理由によって中断されたり廃れたりしたものに光を当てて、いろいろな発明が2ページ程度で紹介されている。その内容自体が今でも使えるようなものであったり、現代の技術で蘇ったりしたものなどがあり、これからのエネルギー問題を考えるきっかけにもなるようだ。
日本語版の刊行に当たって、「屋井先蔵の世界初の乾電池」「地熱発電」「電気自動車「たま」」などの日本人による発明も追加されている。
日本に最初に走っていた車は電気自動車だったが、朝鮮戦争で鉛(おそらく銃弾用途)が不足しバッテリが供給できなくなり、その後ガソリンが安く供給されるようになったことからガソリン車が普及するようになったというくだりは、いま開発されつつある自動走行車以前に、「単なる」電気自動車の可能性もありえることを物語っていないか。

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